1.5-anhydro-D-glucitol (1.5AG):
・HbA1cやグリコアルブミンなどの糖化タンパクと異なり、グルコースに類似した構造を持つ生体内ポリオールの一つ。
・肝におけるグリコーゲン分解時に生成されることから、グリコーゲン代謝を司るセンサーとしての役割が示唆されている。
・生体内1.5-AGの90%は食物由来(糖質)であり腎糸球体でろ過されたのちほとんどが尿細管で再吸収され、通常はほぼ一定の値を示す。糖質を摂っていると上がってくる。摂りすぎにより血糖値が上がり尿糖が上がってくると下がる。
・高血糖時の尿糖が陽性時には、尿細管での再吸収が阻害され尿中排泄が増加し、血中濃度は低下する。
・尿糖排泄量を反映する。
・数日間の短期血糖コントロール指標として利用される。
・HbA1c>8%などのコントロール不良な糖尿病では、極端な低値を示すため臨床的な意味が低くなる。
・血糖の日内変動の大きさや食後高血糖を反映するため臨床上の有用性は大きい。
・偽低値(腎性尿糖、妊娠30週以降、慢性腎不全、饑餓、重度肝疾患、αグルコシダーゼ阻害薬使用中)。
・偽高値(人参栄養湯、加味帰脾湯服用時。大量の1.5ーAGが含まれる)。
・1.5-AGは血糖コントロールの増悪をおよそ一日のタイムラグで反映し、その変動幅はHbA1Cやフルクトサミンより大きく、また1g/日位の尿糖レベルでも低下するといわれている。
・血糖の変動が少ない症例ではHbA1Cとほぼ相関するが、急性増悪や回復期にある症例ではよい指標となる。
・食物では糖質に多く含まれているため糖質制限患者では、尿糖の有無に関わらず低値を示す。
・厳格な糖質制限では、重度の低値を示すことも多く糖質摂取量の目安となる可能性がある。