NAD+の低下で起こることは、エネルギー代謝の低下。具体的には低血糖症、乳酸の蓄積、脂肪肝。
・低NAD+による低血糖症→NAD+が減ると、リンゴ酸からオキサロ酢酸への変換が滞り、且つオキサロ酢酸からリンゴ酸への還元が強くなる。オキサロ酢酸は糖新生の材料。糖新生が減ると低血糖が起こりやすくなる。TCA回路自体も一部渋滞発生で回らない。
・低NAD+による高乳酸状態→NAD+の低下とNADHの増加で、乳酸脱水素酵素は乳酸側への代謝が促進する。乳酸からピルビン酸への変換は進まず、身体に乳酸が溜まる。エネルギー代謝が低下し、疲労感が増す。
・低NAD+による脂肪肝→NAD+の低下で、脂肪酸がエネルギーに変わるときの反応(β酸化)が阻害される。β酸化のキモとなるヒドロキシアシルCOA脱水素酵素はNAD+を補酵素とする酵素。NAD+不足で脂肪のエネルギー変換は滞る。脂肪酸のエネルギーへの変換が滞れば、余った脂肪が細胞内にとどまる。アルコール代謝により肝臓の細胞内ではNAD+が増えるので、脂肪がエネルギーに変換できずに居座り続け、これが脂肪肝になる。脂肪肝になると、低血糖症が起こりやすくなる。