水銀が特に影響する部位(臓器別)
・中枢神経:脳機能、水俣病では視野狭窄をきたすが、中等度水銀中毒では乱視などが出現
→自閉症、アルツハイマー病
・末梢神経:体性神経障害 指先の感覚障害、口腔内知覚障害など
→自立神経障害 交感神経緊張、消化管機能低下、歯ぎしり
・筋肉:筋収縮は、カルシウムの流入によっておこるが、その流入を抑制するのがマグネシウム。水銀はマグネシウムの働きを抑制するため、結果的に筋肉の持続収縮、筋緊張を引き起こす。
→筋肉痛、頭痛、繊維筋痛症、クレンチング(無意識のくいしばり)、顎関節症、マイクロクラック
・赤血球:ヘモグロビン1分子には鉄原子が4個含まれ、鉄原子1個につき1分子ずつ酸素が結合する。この酸素の結合部位に水銀が結合することがある。通常ヘモグロビンは肺で酸素を受け取り、末梢組織で渡すために、酸素は可逆的な結合をしているが、水銀が結合した場合は、結合が解けることはない。ヘモグロビンの4つの結合部位のうち1つに水銀が結合すれば25%、2つに結合すれば 50%酸素運搬能が低下する。これが、酸欠状態、慢性疲労症状を引き起こす。赤血球自体が減るわけではないため、血液検査で検出する事はできない。但し、代償的に大球化(MCV↑)することはある。
・腸内細菌:アマルガムから溶け出した水銀は、胃腸に入り、親和性の高い腸内細菌と結合する。一部の細菌は殺菌され、一部は耐性変化を起こす。 これは腸内細菌叢を変化させ、タンパク消化に影響を与える。不完全消化のタンパク質は免疫反応を起こす。アマルガムに耐性となった細菌は、交差耐性を引き起こし、抗生剤にも耐性となる。戻す働きをするのが腸内カンジダ。カンジダは口腔内にアマルガムがある限り、有機水銀→カンジダによる脱メチル化→無機水銀。
→腸内細菌によるメチル化→有機水銀という連鎖を起こして増殖する。
・酵素:水銀イオンには、酵素のタンパク質部分のSH基と結合し、その酵素の活性を阻害する働きがある。SH基をもつタンパクは体中いたるところにあるが、例えば、インスリン(S-S結合をもつ)、アルブミン(含硫アミノ酸メチオニンを含む)などへの影響も大きい。
・ホルモン:甲状腺ホルモンのヨード結合部位に結合し、不活化する。血液検査で T3、T4を検査しても検出不可能(但し、若干TSH上昇する)。
→抗利尿ホルモン不活化による夜間頻尿。