カルシウムは情報伝達(カルシウム・シグナリング)の役割を果たす。ヒトでは細胞質内のカルシウム濃度は低く、体内のほとんどのカルシウムは骨や歯や細胞内に貯蔵されている。細胞が刺激を受けると、細胞外や小胞体にあるカルシウムイオンが細胞質内に入ってき来ることでスイッチ(引き金)となり、細胞の収縮やホルモン、生理活性物質の分泌が起きる。
例えば筋肉なら、カルシウムイオンの濃度変化を感じてスイッチの役割を果たすトロポニンを介して、ミオシンとアクチンという2種類の筋源繊維が相互にスライドし、筋肉が収縮する。すい臓 β 細胞なら、細胞内Ca2+濃度上昇が、インスリン分泌顆粒の細胞外への開口放出を引き起こす。脳神経なら神経伝達物質がシナプス間隙に分泌される。また、これは細胞分裂の際の転写などの刺激ともなる。
