ヘプシジンはマクロファージと骨髄間の鉄のリサイクルと、十二指腸からの鉄の取り込みを同時に抑制する。フェロポルチンという肝臓やマクロファージの細胞表面にある鉄の輸送体がある。これは、鉄を細胞外に放出する唯一の輸送体だが、ヘプシジンは、フェロポルチンに結合して、分解してしまうことで鉄輸送をストップさせる。血中にヘプシジンが多量に存在すると、網内系マクロファージは鉄を細胞内にため込み、十二指腸上皮においては食物中の鉄の吸収が抑制される。一方、ヘプシジンの発現が異常に低下すると、腸管からの鉄の吸収にブレーキがかからないために全身性の鉄過剰症となり、肝障害、糖尿病、心不全などを引き起こす。