アンモニアの最大の問題は血液脳関門をすり抜けてしまうこと。アンモニア神経毒であり、あらゆる精神疾患に結びつく。過剰となったアンモニアを解毒するのにBH4という酵素が働く。ところが、高レベルのアンモニア処理に追われてしまうと、BH4はセロトニン、ノルエピネフリン、ドーパミンなどの神経伝達物質を作るためにも利用されるため、高アンモニアによるBH4不足はうつ症状や不安を引き起こす可能性がある。(ただしBH4がアンモニア解毒に使用される量は、神経伝達物質に利用される量ほど多くはない。)BH4は他にも血管を弛緩させる(そして血圧を安定化させる)ために必要な一酸化窒素(NO)を活性化させる酵素にも必要。しかし、BH4が不足してしまうと、NOの合成酵素であるNOSが増加してしまい、このNOSはフリーラジカルを産生してしまう。この機序によって、高タンパク質食は血管収縮や血圧に影響を与えることが指摘されている。高タンパク質食は硫黄代謝においても影響を及ぼす。硫黄代謝ではCBSという酵素が中心となって働くが、CBS活性がより強くなると、高レベルのアンモニアをもたらし、グルタチオンという抗酸化酵素を低下させる。動物性タンパク質の摂取が多くなると、IGF-1(インスリン様成長因子)やインスリンの活性を高め過ぎてしまい、腫瘍の増殖を促進させる。動物性タンパク質は高カルニチン食となり、悪玉菌によってTMAOという有害物質をつくってしまい、これが心臓病や大腸がんなどの原因となってしまうことがある。他にも、二次胆汁酸過多やヘム鉄過多により発がんの可能性もある。