亜鉛はすべての生命体の必須ミネラルで、亜鉛欠乏は精神疾患でみられる生化学異常のなかでも圧倒的に多く見られる。うつ、行動障害、ADHD、自閉症、統合失調と診断された人の90%以上が、低血中濃度を示す。多くの精神疾患が酸化ストレスを伴い、体内亜鉛を消費しているのがその理由と考えられる。 亜鉛は脳機能において、活性酸素の除去、ビタミンB6の活性化、銅過剰を防ぐ、NMDA受容体の活性化に重要な役割を果たしている。亜鉛不足は成長障害、体温調節障害、免疫低下、うつ、傷の治りが遅い、けいれん、不安などと関連している。亜鉛は、250以上もの酵素の補酵素であり、細胞分裂や遺伝子発現にもかかわっている。亜鉛不足は2ヶ月間の栄養療法で改善させることが可能。但し、特に重金属(カドミウムなど)や銅の負荷が過剰になっている患者では、排出時の一時的な血中濃度上昇を防ぐために徐々に行うべき。