統合失調症の病因仮説:
・ドパミン仮説→ドーパミンが過剰に分泌されることが原因。ドーパミンの働きを遮断する抗精神病薬が陽性症状の治療に効果を示す。ドーパミンの働きを活性化させる薬剤が統合失調症に似た幻覚・妄想を引き起こす。
・セロトニン仮説→セロトニンの働きを遮断する抗精神病薬を投与すると、陰性症状が改善する。
・グルタミン仮説→NMDA受容体仮説。グルタミン酸(興奮性)やGABA(抑制性)の代謝に関わるNMDA受容体機能低下が原因。陽性症状、陰性症状共に説明できる。
・活性酸素仮説→過剰な活性酸素が不都合な化学反応を起こしていることが原因。統合失調症患者では、活性酸素を消去するGSHの脳内濃度が低い。GSH低下はNMDA受容体でのグルタミン活性を低下させ、幻覚、妄想が出現する。活性酸素の原因は、重金属、けが、感染、ストレス、鉄などである。
・エピジェネティクス仮説→遺伝子の発現が原因。一人のみが統合失調症の一卵性双生児において、統合失調症の方ではDNAメチレーションを認めたが、もう片方では認めなかった。統合失調症患者はコントロールに比べてメチレーションレベルが高く、GABAを作り出す酵素GAD67の発現が弱かった。