子宮内膜症の腹腔内では、免疫細胞とサイトカインの異常な増加が認められる。腹腔内の炎症はホルモンや生殖能力に大きく影響する。エストロゲンには炎症を抑える働きがあり、炎症があればエストロゲンが多く作られる。肥満細胞はヒスタミンを多く含み、アレルギーの際に活躍するが、サイトカインなど炎症を起こす物質も大量に持っている。月経血や子宮内膜の細胞は月経のたびに子宮、卵管を通って逆流し、月経血に含まれる鉄は酸化ストレスを生み出す原因となる。これに対して肥満細胞が活性化すると脱顆粒(自身の内容物を放出)して無差別に攻撃する。炎症物質をまきちらし、他の炎症細胞も巻き込む。免疫系を活性化し、顆粒球、マクロファージ、リンパ球などを呼び込んで炎症反応を増大させ、さらに肥満細胞を活性化させる。肥満細胞はプロスタグランジンも多く放出する。プロスタグランジンは子宮を収縮させる作用があり、月経痛の原因となる。また、炎症が神経細胞に及ぶと痛みが出る。さらに、炎症で破壊された組織を修復する酵素マトリックス・メタロプロテアーゼの働きも悪くなり、瘢痕化する。