グルテン依存性疾患は大きく3種類に別れる:
・セリアック病→グルテンに対する免疫反応が小腸粘膜を傷つける自己免疫疾患。150人に1人で遺伝性がある。慢性の下痢や便秘などの他、粘膜が委縮して強い吸収不良がおきるため、鉄欠乏性貧血や骨粗鬆症なども起こす。血液中の組織トランスグルタミナーゼ抗体の上昇が特徴的な検査所見。自己免疫疾患のため1型糖尿病、リウマチ、多発性硬化症の人はチェックすべき病態。原則として生涯グルテンフリーの食生活を続ける必要あり。
・小麦アレルギー→一般的には小麦アレルギーを起こしやすいのは子供。小麦のタンパク(グルテンやグリアジン)に対して免疫が作動し抗体を作り、タンパクを摂取した時に抗体が反応してヒスタミンが放出されアレルギー症状が生じる。症状には蕁麻疹、嘔吐または下痢、鼻水、頭痛などがあり、時にはアナフィラキシーを引き起こす。免疫グロブリンIgE による免疫反応が一般的で、その抗体を測定することで診断。自然治癒するのも特徴で、乳児期に発症したアレルギーは12歳までに80%軽快する。グルテンフリー・ダイエットを行う期間は平均で6年。
・非セリアック・グルテン過敏症(NCGS)→セリアック病でなくとも、グルテンを食べると症状が悪化する。グルテンに対する過敏症状があるのに、二疾患には当てはまらない。検査をしても抗体の上昇が見られず小腸の絨毛も損傷されない。発生率はセリアック病や小麦アレルギーよりも高い。特異的な診断マーカーがないため、診断はまず二疾患を除外する事が必要。次に食物による症状の誘発試験を行う。グルテンを含まない食事を少なくとも3週間行い、その後に誘発検査をする事を推奨。低グルテンで対応できる人も多い。
